政府は中長期の在留資格を持つすべての外国人について、9月から条件を緩和し日本への再入国を認める調整に入った、との記事が8月23日日本経済新聞朝刊に掲載されていますので紹介します。
現在新型コロナウイルスに関する水際対策の一環として、いったん出国すると一部を除き、たとえ日本に生活拠点があったとしても戻れない状況となっています。再入国に際しては、海外から帰国する日本人と同様にPCR検査や自宅やホテルなどでの14日間の待機を条件としています。
22日現在、146ヵ国・地域からの外国人の入国を原則拒否していますが、拒否対象に追加される前に日本を出国した外国人や、親族の葬儀への参列等「特段の事情」である場合を除いて、中長期の在留資格を持つ人でも再入国が認められてきませんでした。
現在中長期の在留資格を持つ外国人は国内に約262万人いますが、経営者、駐在員、技能実習生、留学生など、日本で仕事をしたり勉学をしたりと、生活の拠点を日本に持つ人が主流となっています。
8月中旬時点で約20万人が出国中とされていますが、そのうち入国拒否の対象に指定された後に日本を出国した人は約3万人と言われています。9月に全面緩和すれば、その後に出国する人の再入国も認められます。
一方、外国人留学生の入国制限は月内にも一部緩和される見通しです。まず政府が学費や生活費を支給する国費留学生が対象です。往来再開はビジネス目的を優先、次に留学生を対象としてきましたが、ここは一部変更となりそうです。国費留学生は留学生全体のうち3%に相当します。
8月5日から、タイ・ベトナムとはビジネス長期滞在者に限り往来を再開しています。さらに中国、韓国、台湾等とも交渉しています。シンガポールとは9月にも短期出張者についても往来再開の予定です。ここにきて急速に往来再開の動きが出てきました。
その理由は、感染収束自体の目処が立っておらず、ビジネスや在留資格者の生活への影響が長期化していることがあげられます。特に在留資格を持つ外国人の再入国制限措置は、主要7ヵ国(G7)では日本だけとなっており、米欧などから緩和を求める声が出ていました。一種の外圧と見る向きもありますが、在日欧州企業においても、多くの企業が再入国制限を負担と感じ、事業の立ち上げ・継続が難しい状況になっているとの調査結果が出ていました。
再入国やビジネス目的の往来再開により入国者数が増えることを予想し、水際対策も重要です。9月には成田、羽田、関西空港の3空港に「PCRセンター」を設置し、検査能力を現在の2.5倍の1日あたり1万人に増やす計画も出されています。
在留資格者の再入国を緩和する一方、新規入国の制限は引き続き設けますので、従来のようにすべての外国人が自由円滑に往来できることではありません。事実、観光客ら短期滞在者の入国再開は未定となっています。
本件に関しては、続報が入り次第アップデートします。