政府は3ヵ月以上の中長期にわたって日本に滞在する在留外国人の入国を10月にも再開すると発表しました。来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックに向けての第一弾策とみられています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため海外からの入国を制限していましたが、駐在員や留学生を対象に全世界から受け入れを再開して経済の再生につなげるとの意向です。検査や入国後2週間の待機が条件となっており、1日の上限は1000人程度に絞るとされています。
入国制限緩和対策は3段階で進められています。①2国間の合意に基づくビジネス往来(現状でもベトナム、シンガポールなど比較的感染拡大が抑えられている8ヵ国・地域で1日800人が入国可能だが、10月からは中国、韓国等交渉中を含む16ヵ国・地域で1日1600人となる)②中長期の在留資格者(現在は永住者や一部の教員、医療関係者らに限り容認されているが、10月からは短期滞在以外の在留資格保持者を1日1000人上限となる)③観光客ら短期滞在者(感染状況、検査能力を踏まえ検討へ)となっており、今回は②の解禁策となります。
①の段階は感染状況が落ち着いている16ヵ国・地域とのビジネスに限定した往来の解禁を交渉してきており、すでに台湾やマレーシアなど7ヵ国・地域と駐在員ら中長期滞在者の往来を解禁し、シンガポールは短期滞在者も認めています。
今回の②の措置は、全世界からの中長期滞在者を対象とするもので、短期滞在を除くすべての在留資格保持者が入国可能対象者となっています。国内外の企業から、”外国人の専門技術者が入国できず、ビジネスに悪影響を及ぼしている”との声に対する対策といえます。
懸念点としては、今月に入ってから特に欧米各国・地域でコロナの感染再拡大が報じられていることです。欧米とひとくくりに言っても各国状況が異なるでしょうから、各国の状況を十分精査し、これから冬場に向かう我が国での感染拡大につながらいよう、政府にはしっかりとした対策を講じてもらいたいと思います。