欧米に比較すれば感染者数が低いレベルで推移しているとはいえ、観光業や外食業等を中心に、経済活動へのダメージが益々拡大してきています。非正規社員の雇い止めが出てきている兆候があると言います。そんな中、コロナウイルスが理由の雇い止めができるのについて、3月30日日本経済新聞朝刊記事より一部引用・要約します。
「2月から仕事量が急減した」。観光ホテルの配膳人としてホテルの直接雇用契約を毎日更新する「日々雇用」で30年近く働いてきたA子さんは3月初頭、雇い止めに遭った。現在、派遣ユニオンに善後策を相談中だ。
その他にも、パートタイマー等からの相談が寄せられているといいます。
使用者がパート、契約社員、派遣社員との契約を終わらせるには、契約満了時に更新を拒否する「雇い止め」と、契約途中で解雇する「期間中解雇」があります。今回は「雇い止め」について調べてみましょう。
「雇い止め」については、その合理性が問われます。今回のコロナウイルスによる「雇い止め」はいわゆる「整理解雇」にあたりますので、その場合以下の4つの要素をすべて満たさなければなりません。
①解雇の必要性があるか ②解雇回避の努力はしたか ③解雇者の人選が妥当か ④労働組合等と十分な協議はしたか
このままウイルス感染が拡大し、さらに経済活動に負の重大な影響を及ぼす状態になった場合、①解雇の必要性 が認められるかどうかが焦点となります。
その場合においても、②の解雇回避の努力 を十分にしたかが問われます。例えば希望退職募集などです。
今回は、「雇用調整助成金」の支給要件も緩められていますので、このような支援策を使用者が使っているのか、も焦点となり得ます。
いずれにせよ、使用者はどのような状況に陥っても、従業員を簡単に解雇することは極めて困難であることを十分認識し、次善策をとることが必要です。