4月27日付日本経済新聞朝刊記事より一部引用・要約します。
職場でのパワーハラスメントを防ぐために必要な措置を事業主に義務付ける、いわゆるパワハラ防止法が6月に施行される。まずは大企業が対象で、2022年4月に中小企業も加わる。違反企業には厚生労働省が改善を求め、応じなければ企業名を公表する。同法には罰則がないだけに、どう実効性を持たせていくかが課題となる。
19年5月のパワハラ防止法成立後も、パワハラと思われる事例は後を絶たないようです。今回施行されるパワハラ防止法では、パワハラを①優越的な関係を背景とした言動であって②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより③その雇用する労働者の就業環境が害されるもの と定義されていますが、現場を預かる管理職にとっては、内容が抽象的すぎてよく分からないのではないでしょうか。
そこで、厚労省が示したパワハラの6類型を紹介します(×=パワハラ該当例、○=該当しない例)
1.身体的な攻撃 × 殴打、足蹴りをする
2.精神的な攻撃 × 人格を否定するような発言をする ○ 社会的ルールを欠いた言動が続く場合、一定程度強く注意する
3.人間関係からの切り離し × 仕事を外し、別室に隔離する ○ 懲戒処分を受けた社員を別室で一時的に研修
4.過大な要求 × 過酷な業務外の仕事を命じる ○ 繁忙期に業務を一定程度多くする
5.過小な要求 × 退職させるため誰でもできる仕事をさせる ○ 労働者の能力に応じて業務量などを削減
6.個の侵害 × 機微な個人情報を他の労働者に暴露する ○配慮を目的に家族の状況などをヒアリングする
一方、経営者にとって気をつけたいのは、パワハラ防止を事業主の義務とし、相談窓口の整備や防止のための研修などを求めている点です。また、パワハラ相談などを理由とした不利益な取扱いも禁止していますので、注意が必要です。
新型コロナウイルス感染症の影響等、企業業績の悪化に伴いパワハラ件数は増えると言われています。
一般的に、中高齢者の管理職と若年層との間には、仕事や休暇に対する価値観の違いや、デジタル知識・スキルのギャップなどがありがちです。業務内容も急速に変化しつつあるデジタル環境の中で、そのような環境についていけずにストレスを感じた管理職が、パワハラ行為をするリスクがある、とも言われています。
「指導」と「パワハラ」の線引きが容易ではないこともあげられます。
互いに日常的に「コミュニケーション」をとる、「部下」の立場にたった言動をする、等、当たり前の習慣をし続けることが重要であることに変わりはないようです。