政府は8月にも、日本に在留資格を持つ外国人のうち、4月2日以前に出国した人の再入国を段階的に認める方針を発表しました。新型コロナウイルスの水際対策によって日本に戻れなくなった駐在員や留学生が対象となる模様です。
日本は、13日時点で米国や中国、韓国、EU諸国など129ヵ国・地域からの外国人の入国を原則拒否しています。日本に生活基盤がある外国人でも、入国が再入国が可能なのは、4月2日以前に出国した永住者や日本人配偶者等だけとなります。日本は4月3日から入国制限をかけ始め対象を順次拡大しましたが、それ以前に出国した外国人は再入国ができなくなることを知らずに日本を出国した、とみなし在留資格を持つ外国人を優先的に日本に帰国できるようにするものです。
在留資格を持つ人のうち「永住者や日本人配偶者等」の在留資格を持つ人は、4月2日までに出国していれば再入国許可がでます(4月3日以降に出国の場合は不可)。留学生や駐在員等については、4月2日までに出国した場合は8月にも段階的緩和措置により再入国許可が出そうです(4月3日以降に出国の場合は不可)。
上記以外にも、高度専門職や技能実習生等も職場復帰ができなくなるケースが散見されています。30近くある在留資格のうちどの在留資格保有者から優先的に再入国を認めていくか、が今後関係省庁間で調整される模様です。
国・地域については、新型コロナ感染者が少ないところから順に緩和していくと見られています。ビジネス目的の往来交渉をすでに開始したベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランド4ヵ国のほか、近日中に交渉が予定されている中国、韓国、台湾、ブルネイ等が候補国・地域となりそうです。
再入国を認めるとなれば、日本側の検査体制がポイントになります。検査体制次第で、再入国者人数が決まります。入国拒否対象国・地域から日本に戻る際は、空港でPCR検査を受けることが義務づけされます。
再入国許可を持つ出国中の外国人は、4月3日以降に日本を出国した人を含め約9万人もいるそうです。
一方、政府は8月1日までに国内空港の検査能力を現在の約2倍の4000人に増やし、9月には成田、羽田、関西空港の3空港に「PCRセンター」を設ける予定です。検査能力は1日1万人程度となる見通しです。
現実的には、日本人の帰国者や今後の規制緩和対象となるビジネス目的の新規入国者も検査を受ける必要もありますので、検査の枠をどれくらい再入国者に振り分けられるかが焦点となりそうです。
欧州ではすでにビジネス関係者や留学生を含む在留資格保有者の再入国を特例で認め始めており、日本へも再入国制限の緩和を働きかけてきているようです。
足元では、感染者がまだ増え続けており、一向に収束に向かいそうもない現状ですから、以前同様外国人が日本と海外を自由に往復できるようになるのは、まだだいぶ先のようです。