<script data-ad-client="ca-pub-6780656037822469" async src="https://pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js">
suzukan01ブログ

There is no accounting for taste

合計: £0.00

8月18日日本経済新聞朝刊に、日本の経済成長を阻む長きにわたる金融制度に関する記事が掲載されていましたので、引用の上紹介します。

中国が制定した国家安全維持法により、香港人への政治的弾圧が開始されています。香港はアジアの金融センターでもあり、金融を中心としてビジネス高度人材が豊富にいることでも知られています。今こそ東京が真の金融センターになるために、香港が担ってきた機能と人材を一緒に取り込もう、という構想がありますが、実現は容易ではないようです。

日本がめざす金融立国が遠い。中国の国家安全維持法で揺らぐ香港から高度人材を呼び込もうと政府・与党内で浮上した税制優遇案には、慎重論が早くも渦巻く。海外に比べた所得税や相続税の負担の重さを和らげる道筋は見えない。外国人家族が暮らしやすい生活環境の整備も遅れている。このほど金融庁は2021年度の税制改正要望の素案をまとめた。資産運用会社の法人税軽減や役員報酬の損金算入制限の緩和など現状の課題に沿った内容だ。例えば運用成績と連動する役員報酬は現在上場企業でなければ損金(経費)と認められない。先進国では珍しい仕組みで、金融機関のアジア部門トップが日本を避ける一因とされる。

日本の税制では海外資産まで広く網をかける相続税も世界の金融界で評判が悪い。そこで金融庁は非永住の高度人材に限り、入国時点の国外資産に課税しない特例案を検討する。

「非永住の高度人材」と言いますが、その高度人材とは具体的にどの在留資格を指しているのでしょうか?仮に「高度専門職」だとしますと、特に専門性の高いスキルや技能を持つ「高度専門職2号」は、「永住」許可申請を容易に行なうことができます。つまり、高度専門職のような高度人材には、長く日本で就労・生活してもらい、日本の経済発展に貢献してもらうというのが本来の趣旨であったと理解しています。「非永住」に限るのではなく、将来永住を希望する高度人材にまで範囲を広げるべきではないでしょうか。

本丸の所得税については自民党の外国人労働者等特別委員会で引き下げを求める声が上がる。現在、1千万円の課税所得に対する日本の税率は33%と、シンガポールの15%や香港の17%に比べ高い。1億円の場合は日本は45%、シンガポールは22%、香港は17%とさらに差が広がる。金融所得に限れば、日本の15%に対してシンガポール、香港は非課税だ。

現在の日本の重税感が如実に表れています。経済規模や人口が圧倒的に小規模なシンガポール・香港と比較し、これだけ税制面で劣っていれば、東京がシンガポールと競合し、あるいは香港の機能を東京に移すことなど全く現実離れしています。

一個二制度が事実上崩れた香港は国際金融センターとしての地位が揺らぐ。アジアの金融ハブとして東京の存在感を高めるチャンスで改革の機運は再び盛り上がっている。しかし香港情勢が追い風となるはずの一連の税制改正の構想が実現するかは不透明だ。金融庁の素案には政府内で異論が噴出し、修正作業が始まった。もともと業種を絞った優遇策は公平性を大原則とする税の世界にはなじみにくい面がある。特に金融人材については「金持ち優遇」との見方がつきまとっていた。

税制改正をつかさどる与党の税制調査会幹部は今回も慎重な姿勢を崩していない。国際的にいたずらな税率の引き下げ競争に歯止めをかけようとする議論もある。

いたずらに税率を引き下げろとは誰も言ってはいないはずです。失われた20年という言葉も死語になりつつありますが、長期間経済低迷が続いている日本経済に、今、千載一遇のチャンスがめぐってきた、という発想はできないものでしょうか?何か大きな改革をするときには、何らかのリスクの受け入れは当然です。一体何を恐れ、何に忖度しているのか、政府・自民党・管轄省庁は、この先の日本経済の行く末を真剣に考えているのかと唖然とします。

課題は税制だけではない。「なぜこれほど厳しいんだ」。ある香港の金融人材は日本の行政書士に不満をぶつけた。今の在留資格制度では家族以外の帯同を1人しか認めない。海外のように家政婦と運転手をそれぞれ雇う普通の生活が送れない。家政婦が自身の子供を連れてくるのも難しい。

そもそも香港と日本では生活習慣が異なります。香港では夫婦共稼ぎが多く、小さな子供がいる場合は外国人(フィリピン人が多いようです)のナニーが自宅に来て(あるいは住み込みで)子供の世話をするのが一般的と言われています。日本ではその制度はほぼないですよね。現在の在留資格制度では、一定の収入があり継続的に雇用する家政婦に限り、決められた報酬以上支払うことを条件に雇用主に帯同することが許可されています。運転手はNGです。家政婦と運転手付きが「普通の生活」という認識が、一般的な日本人の感覚とは違うようです。

世界で活躍する金融人材にとって魅力的な教育機関が日本に少ないといった声も聞こえる。金融立国や国際金融都市の構想は過去に何度も浮かんでは消えた。今回はどうか。水面下では在留資格の問題を含む総合的な政策パッケージを検討する首相官邸主導のチームが発足し、省庁横断の議論も始まっている。経済構造の転換を迫るコロナ禍に香港問題をが重なる今こそ、日本金融の成長戦略を再考する好機であるのは確かで、具体的な中身が問われる。

政府の強いリーダーシップの元、抜本的・具体的な制度改革の設立と実行を、スピード感をもって実現してもらいたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

X