2月13日日本経済新聞記事より一部引用、要約。
12日時点で世界129か国が中国からの何らかの入国制限をしているそうです。アメリカ、シンガポール、オーストラリアなどは中国全土からの入国を拒否していますが、日本は1日から、入国申請日前の14日以内に湖北省に滞在歴がある外国人、同省で発行したバスポートを所持する中国人の入国を認めていませんでしたが、13日からこの措置を浙江省(省都は杭州)に拡大しました。この措置をめぐって、日本政府・厚労省の対応が緩すぎる、という批判が高まってきています。
各国でどのような対応をしているのかを下記に整理してみます。
【韓国】→日本と同程度の措置に留まっている模様
・チャーター機派遣
・湖北省からの入国拒否
【欧州】→発生源から地理的に遠いにもかかわらず関心度は非常に高い
・英、仏、伊などがチャーター機派遣し自国民を帰国させる
【米国】→早い段階から大統領の強いメッセージが発せられた
・中国全土からの外国人入国拒否
・チャーター機派遣
【フィリピン】→早い段階から大統領の強いメッセージが発せられた
・中国、香港、マカオに滞在歴のある外国人の入国拒否
・チャーター機派遣
【オーストラリア】→早い段階からの政府による強硬な対応
・中国全土からの外国人入国拒否
・チャーター機派遣
【ミクロネシア、ツバル、サモア、キリバス】→日本も中国と同等の扱いとした
・中国のほか、日本などアジアの感染国からの入国を制限
最後のミクロネシア連邦の措置では、中国に加えて日本も感染国との位置づけになってしまいましたね。これを見ると、日本政府の対応が遅すぎた、緩すぎた、との批判をされても致し方ないでしょう。
出入国管理法5条1項14条では、
「日本国の利益または公安を害する行為を行うおそれがある」場合は、法務大臣の判断で入国を拒否できる と定めています。
感染症などの緊急時でなくても、国には外国からの入国に関して幅広い裁量が認められています。
ここで問題なのは、入国のみならず「出国の自由」の問題です。
今回も日本人は中国から自由に出国する権利はあります。一方国際法上では、ある国の領域内では全ての人に対し、その国の管轄権が及ぶとの原則があります。今回は中国政府が感染防止の拡大の政策判断により、湖北省を全面封鎖したため、日本人といえども中国側の同意のないまま現地在留者を日本に帰国させることが難しかったようです。また、中国人配偶者については一層ハードルが高かったようですが、最終的には「人道的観点」を理由に出国が認められたとのことです。
単なる入管法のロジックだけではなく、国際法や各国の法制度と複雑にからみながら、最善の策を模索し、迅速にアクションを起すことが、今まさに求められています。