接続詞の”and”や”or”は、英文では頻繁に出てきます。しかしこの2つの単語を文脈や内容に応じて的確に読むことは意外と難しいです。実際”and”を日本語に訳すとすれば、「および」か「ならびに」、”or”は「または」か「もしくは」のいずれかをきちんと使い分けなければなりません。今回は、”and”について深堀してみます。
①”A and B”のように2つの場合、”A,B and C”のように3つ以上のものが並列に並んでいる場合、には、「AおよびB」「A,BおよびC」のように「いずれも」ということを示す併合的接続詞と呼ばれ、「および」と訳します。
【例文】
ABC hereby appoints XYZ as a non-exclusive distributor for the marketing, distribution and the sale of the Products in the Territory.
【訳文例】
ABCは、販売地域における本製品のマーケティング、流通および販売について、XYZを非独占的販売店に指名する。
(出典:英文契約書の基礎知識)
この場合は、「および」と訳して問題ないですね。
②①でみたように”A and B””A, B and C”の場合は「および」でOKですが、この併合的接続が2段階になるとどうでしょうか?
AとBが1つのグループで、それにCをつなぐといった場合は、”A and B”を「および」と訳した後で、”, and C”を「ならびに」と訳します。まとめると、「AおよびBならびにC」ということですね。つまり、小さい接続の方には「および」、大きい接続の方には「ならびに」と訳します。この場合。「および」と「ならびに」を併記するときはコンマ(,)が使われます。具体的には、A and B, and C, D and E(AおよびBならびにC, DおよびE)となります。やや複雑ではありますがよく見れば理解できます。このコンマ(,)がくせ者ですね。
【例文】
The term “Products” means the SppdeyChecker-1 and Speedy Checker-2 assay in a format detailed in Schedule 1 hereto, and any component part thereof.
【訳文例】
「本製品」とは、添付書類1に詳記される形態の分析検査用Speedy Checker-1およびSpeedy Checker-2ならびにそのいっさいの構成物を意味する。
(出典:英文契約書の基礎知識)
いかがだったでしょうか? “and”という簡単な単語でも、文脈、内容に応じて注意して的確に訳すことが必要だということをご紹介しました。
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