今回はたくさんの単語が登場しますが、どれも「~とみなす」「~と推定する」という意味合いになります。民法に詳しい方であればご存知でしょうが、「みます」と「推定する」は厳密には違う意味となります。「みなす」とは、”ある事柄(物)と性質の異なる他の事柄(物)とを一定の法律関係について同一のものと考えること”を言います。「推定する」とは、”ある事柄について、事実等の存在が不明確である場合に、一応その事実等が真実なものとしてその法律効果を認めること”とされています。従い、「推定する」はいわゆる”反証”(=仮定的事実や証拠が真実でないことを立証すること)を認めますので、一応そういうふうに取り扱う、という意味になるのに対し、「みなす」の場合は”反証”は認められませんので、決まったことは覆りません。
その点、英文契約書に出てくる上記の単語については、どの語が「みなす」でどの語が「推定する」という意味で使われるのか、厳格な区別がないとされています。つまり、文脈から判断する必要がありますので、契約締結時に当事者間で確認しておくことがポイントになりそうですね。
【例文】
① The notice by airmail shall be deemed to have been received by the other party seven (7) working days after the date of dispatch thereof.
② The guarantor shall be presumed to have been warranted his solvency at the time when this Agreement is made.
【訳文例】
①航空郵便による通知は、発信日から7労働日後に相手方が受領したものとみなす。
②保証人は、本契約締結時において、その資力を担保したものと推定する。
(出典:英文契約書の基礎知識)
①では「みなす」と訳していますが、前述したように”反証”することが認められず決定したことが後から覆されることがないのか、それとも「推定する」のように”反証”が認められるのか、についてはこの英文からは判断できません。場面ごとに判断する必要があります。
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